インタビュー

有限会社エージェントうさみ 代表取締役 宇佐美健介【後編】

 
 
◆ 今後どのような人と共に働いていきたいですか?
経営理念を実行できる仲間です。弊社の経営理念は3つあります。

1つ目は
我々は、相互扶助の精神を持って、人と人とが助け合い支え合う、安全で安心な地域づくりを目指します。
私は富士宮に来てから毎年、秋祭りに参加しています。お祭りの良い所は子供から大人まで、まる2日一緒に参加する地域イベントで、人と人との距離がすごく近いところです。地域のみんなと知り合いになれ、仲良くなれるところです。しかし、一つの行事をやる為には、支え合う気持ちが無ければうまくいきません。手伝えない人に対し不満を言う方もいますが、「いいよ代わりに私がやるから大丈夫だよ」という相互扶助の精神が大切で相互扶助こそ保険の概念です。人と人とが助け合って生きていく重要性を地域の関わりの中で学びました。

2つ目は
我々は、時代と共に変わるリスクを正確に把握し、広範なコンサルティング活動によってお客様の健全な暮らしを守ります。
リスクが時代と共に変化していくので、その変化に対応していかなければなりません。今、弁護士さんが増えて仕事を探している、訴訟社会になりつつあります。 実際、弊社で取り扱った事故ですが、ある社長さんが自社工場の改修工事を頼んだ際に、下請けさんが一人で作業されているので大変だと心配して、その下請けさんを手伝い、「ちょっとこれを持ってて下さい」と頼まれ持ってた物が、不意に外れて落ちてしまい下請けさんが怪我をした。そうしたらその怪我をした下請さんの弁護士さんから、作業を手伝った社長さんに損害賠償請求が来たんですよ。人を助けようと思って手伝ったらミスをしてしまったことによって損害賠償を請求されてしまったんです。 そうなるともう誰も人助けをしなくなります。

――― 怖いですよね。
人を助けようと思う人がどうしてそういう思いをしなければならないのか。
時代が変化してきているとはいえ、これで本当に良い社会なのかなって思います。
――― 自分だけが良ければいいみたいな。今ちょっと怖い時代になっていますよね。
だから何もやらないのが安全だとか、人助けなんてやらなければよかったと思うことは、よくないことだと思います。
我々ができることは、その人を守ることだと思います。そういう時に対応できる保険で、その人を守ることです。しかし、それは時代と共に変わるリスクを正確に把握していないとできないことでもあります。こういうことが経営理念の2つ目です。
3つ目の理念は
我々は、人を支え、心を繋ぐ、優しい人集団であることを目指します。
この仕事をしていると、事故や入院など、起こってほしくないことが起きてしまい、最悪の状態は死亡ということにもなります。そういった時に、ただ保険金をお支払いするだけでなく、例えば生命保険であれば、その子供に、「君のお父さんがね、こんな思いでこの保険に入ったんだよ。だから絶対に負けちゃダメだよ」っていうことを子供に伝えてあげること。「頑張って欲しい、乗り越えて欲しい、お父さんの思いを届ける」ということは、我々の出来る最大の指名だと思います。それが本当に人の心と心を繋いでいくことだと思います。
そういう思いが伝わる人と一緒に働いていきたいと思います。課題はたくさんありますが、みんながそのようになっていってくれたらと思っています。

◆ 企業を経営していく中で特に印象に残っているエピソードはありますか?
株式会社朝日鉄建さんで、『夢工房祭り』というイベントを開催しているのですが、弊社も一緒に参加させてもらっています。ブースでくじ引きをやったり、的当てをやったり、保険クイズなどに挑戦させてもらいました。 また、秋祭りに社員や取引先の社員さんや、お客様とも一緒に参加しています。 何でやらなきゃいけないの?と思う人もいると思いますが、私たちは地域の中で仕事をさせてもらっています。地域の人達のふれあいや、地域の人達に協力することは、とても大切なのです。また、普段の職場と違う姿を見ることが出来て仲間同士のコミュニケーションも深めてくれます。そういったことが、弊社の経営理念を理解するというところに繋がりました。
 
 
◆ 就活中の方々に何かアドバイスがあれば教えてください。
会社を選ぶ、自分の仕事を選ぶことって、自分の事を知らないとできないことだと思います。 私は、小さい頃から出かけるのが好きで、家にいるより外で友達と遊ぶ子供でした。だから、アクティブに人と関わる仕事、人と話す営業という仕事が自分には向いていると思い、営業の仕事を選びました。 自分を良く知ることが大切だと思います。
また、良い会社は経営者自身が謙虚に学んでいます。社員と共に学び、共に成長している会社を見つけてください。

――― 自分の事を良く知るって難しいことですよね。
そうなんですよね。自分のことって意外と分からないですよね。だから自分が何に向いているか、どの仕事が合っているか悩むと思います。それより、その仕事をすることで誰かを守れるとか、誰かの為になっているんだということが確認できればそれが一番だと思います。仕事の見つけ方というか就職活動をしていく中で、そういったことも合わせて考えられればいいなと思いますね。

◆ 現在のスタッフに一言お願いします。
そうですね。『ありがとう』ですかね。一緒の船に乗ってくれてありがとう。
私は、社長の役割は、舵取りだと思っています。船の船長じゃないですけどね(笑) だからその船が沈まないようにちゃんと前に進んで目的地まで辿りつくように方向を見定めたり、帆を張ったり緩めたりということを判断する。役割分担を決めて協力し合う仲間にする。それが社長の仕事だと思っています。船がまっすぐ進むためには、左右のバランスが合わなければいけない。実際に船を漕いでくれるみんなが左右息を合わせて前に進んでいく。一つの船に乗った仲間を信じて助け合いながら、沈まないで目的地にみんなで辿り付けるように頑張っていきたいです。
◆ あなたにとって「社長」とは?
一言で言えるようなことではありませんが、誰よりも会社に対する責任感を持っていなければなりませんし、社員という仲間の生活を守る事が出来なければいけません。みんなの声をしっかり聞いて、方向性を誤らず、みんなが漕ぎやすい、働きやすい環境を作っていくべき存在だと思っています。自分自身を常に高めようと努力しなければならないし、謙虚でなければいけないし、最後まであきらめないで努力する力を持っていなければなりません。 良い経営者への道のりは、まだまだです(苦笑)

◆ 今後の夢や目標を教えてください。
富士宮に住む子供たちが、大人になっても富士宮に住みたいと思えるまちになってもらいたい。住むためには働く場所がなければならなくて、地域労働者の7割を支える中小企業が成長しなければならない。そしてその中小企業をリスクから守ることが、私たちエージェントうさみの役割です。 富士宮は人と人との距離が近くて温かいまちだと思います。子育ての中で、本当にたくさんの人に助けていただきました。だから今度は、自分が助ける番です。支える番です。
東日本の震災で地域が津波で一気に無くなってしまいました。そこに住んでいた人々とその大切なもの全てを津波が飲み込んでしまった。故郷の記憶も景色も全て失ってしまった、変わり果てた故郷と家族を失った人の悲しみ、残された人々の苦しみを思うと、今自分が出来ること、やるべきことは子供たちの故郷を守ることです。 災害だけではなくて、人口減少によって消滅していく市町村が2040年には半数に及ぶとまで言われているなかで、子供たちの為に富士宮を守っていきたいと思います。 そのために、同友会活動を通じて地域を支える優秀な中小企業を増やすこと。支部長時代に発足した「未来創造塾」で中小企業家と市役所の若手職員の方々との勉強会を通じ、富士宮の問題点や課題について取り組んでいます。また、同友会活動から制定された「富士宮市中小企業振興基本条例」の懇話会においても委員として責任を果たしていきたいです。これからもずっと富士宮市の歴史が繋がるように、学び成長していくこと。それが私の目標です。
 

宇佐美 健介 ( うさみ けんすけ )
有限会社エージェントうさみ/代表取締役
◆ 会社概要 ◆
所在地  静岡県富士宮市北町2-21
TEL  0544-26-3565
設 立  平成14年10月1日
事業内容 損害保険・生命保険