インタビュー

株式会社旭紙工所 常務取締役・ホーミーコスメティクス株式会社 代表取締役 渡邉美穂【前編】

 
 
◆ 自己紹介をお願いします。
株式会社 旭紙工所の渡邉と申します。
旭紙工所は私の祖父が創業した会社になります。現在は父が社長で私が一人娘なので、順調にいくと三代目になりますが、現在勉強中で、常務取締役という役職でやらせていただいおります。
それから2年前に別会社を起業しまして、自分でまったくの別資本で始めました。化粧品の企画販売をする『ホーミーコスメティクス』という会社で、今そちらの代表もして、現在2社やっています。
◆ ご自身をどんなタイプの人間だと思いますか?
私、本当にスーパーポジティブなんですよ。悩みは何ですか?って聞かれるとあんまりない、うーん、何かなぁ?っていうような感じで(笑)
けっこうピンチがあっても逆にこういう時どういうふうにしようって、むしろ悩むよりもすぐ改善策というか、どうしたらいいかなと思ってすぐ行動しちゃいます。悩んでる間にけっこう動いちゃうところがあるので。そうですね、すごい楽観的といいますか、もうちょっと慎重になったほうがいいよって言われるぐらいポジティブです(笑)

――― 考えるより行動しちゃうタイプ?
そうですね、そういうところがあります(笑)だからといってすごい行動的というわけではなくて。
怠け者でもあるので、オンとオフがけっこう激しいです。
――― じゃあ仕事に関してはどんどん動いていくような…
そうですね、思い立ったらけっこうすぐやりたいタイプです。
――― プライベートではゆったりとマイペースな感じですか?
だけど、あ、あそこ行きたいなと思ったらすぐ、一人でも行っちゃうような…
――― 活動的なんですね。
そうですね、思い立ったらすぐ動いちゃうっていう感じですかね。
◆ どんな学生時代でしたか?
学生時代ですか…あんまり誇れるような学生時代ではなかったです(笑)
意外とけっこう、あの、なんて言ったらいいんですかね。学校の活動、イベントになると元気になるタイプで。
――― 勉学に励むというよりは、友達作りのような?
そうですね、勉強もそこそこ…いっぱい勉強したっていう感じではなくて、家でもそんな宿題しっかりやるほうではなかったですし(笑)文化祭とかそういう時にすごく元気になる。放課後は部活はそんなにやらずに、本当に文化祭の時だけ元気になる(笑)
――― リーダーシップをとるような感じだったんですか?
文化祭の時は実行委員とかやっていました。実は私、3歳からクラシックバレエを習ってたんですよ。部活をそんなにやっていなかったのはバレエを一生懸命やっていたからなんです。その当時は、3歳から高校1年生くらいまでやっていたんですけど、そっちをけっこう頑張っていたところがあって。なので部活動はそんなに、みんながやっている時でも早く帰って習い事に行ってたっていうような感じなんですけれども、イベントの時はちょっと頑張って、高校の文化祭の時にはステージの担当をやって、ダンスイベントを組んで、自分も踊って司会もやって企画もしてっていうようなことをやってました。
ダンスが好きだったので、その当時けっこうダンスをやる子が多くて、いろいろ学校から募って、けっこう10何組くらい出たんですけど、それで企画・司会・自分も出演っていうのをやりましたね。
大学もサークルはダンスサークルに入ってました。 定期的に学園祭で踊ったりとか、あとダンスイベントもけっこう多かったのでそういうものにサークルから出たりとかしてました。楽しかったですね。女子大だったので女性ばっかりだったんですけど。
◆ プライベートではどのようなことをされていますか?
――― 今でもダンスをされているんですか?
今は、たまぁーにバレエのレッスンに行ったり。ちょっと前に、バレエを一緒に習っていた友人が今先生をやっていて、そこに一回行きましたね。体にムチ打って(笑)もっと行きたいんですけど、なかなか時間が取れなくて。
――― では、今はプライベートよりお仕事が?
そうですね、今忙しくやらせてもらっていて。でも旅行は好きなので、時間が空いたら一人でも行きます。友人とも時間を見つけて行きますね。

――― どんなところへ行かれるんですか?
けっこう海外も行きます。この前は台湾へ行ってきました。台湾に友人が住んでいるんですけど、その友人を訪ねて行ったりとか。あと、一人ではけっこう香港に仕事も兼ねて行ってますね。海外が多いですね。
――― 一人でも海外へ?
1人海外行きますね(笑)国内も一人で、島根県の方に好きな神社があって。
――― 出雲大社とか?
出雲大社も好きなんですけど、私、名前が『ミホ』なんですけど『美保神社』っていう神社があって、そこがすごく、なんて言うんですかね、行くと気持ちがいいというか、相性がいい感じがして、そこにはけっこう毎年行っていますね。気に入ってしまって、一人でも行っています。

――― 美保神社 ...初めて聞きました。
すごくいい所で、本当に自分の名前だったので、たまたま知ったんですけどね。 出雲大社に行ってみたいなと思って行ったんですけど、その時にたまたま『美保神社』って出てきて行ってみたら、そこに行ってからちょっとなんか運気がいいような、行くとなんかこう相性が合う感じがして、それからよく行っていますね。
――― 自分に合ってるパワースポットなんですね。
そうですね。あと1人で行くとけっこう、地元の方が話しかけてくれたりとか、お店で食べる時も1人で入るとお店の人が話しかけてくれたり、隣の人が話しかけてくれたり、国内でも海外でもけっこう皆さんフレンドリーで、逆に交流が深められるというか、そういうところが好きですね。
 
◆ 大切にされているビジョンやポリシーは何ですか?
そうですね、今まで全然ビジョンとかポリシーってなかったんですけど、本当に自分が好きな事とか、思い立ったことを自分の感覚でずっとやってきたんですけど。 ちょっとある方に会って、なんか私のやっていることが「他の真似でいいの?」みたいな感じで言われたことがあって、その時になんかこう自分のオリジナルというか独自の世界というか、なんかそういうものがあったほうがいいんじゃないんですか?みたいなことをちょっと言われたことがあるんですよ。今までは、あ、あの人がやっていることいいな~とか、このデザイン素敵だから真似してみようとか、そういうふうにやっていたんですけど、確かに人の真似しても面白くないなって思って。 じゃあ何が今自分がやりたいというか、目指したいかなっていうと、やっぱりみんなが良くなる、自分もいいし相手もいいし、あと社会も良くなるようなことをしていきたいなっていうのがありまして。
それで今商品開発をしているんですけど、使って良いもの。化粧品なので、肌に使って、まぁ自分に合う合わない、自分が気に入るっていうのもあると思うんですけど。 今けっこう環境問題に興味があって、『SDGs』が国連で採択されて、みんなで世界全体で目指そうよっていうのをやっていたりだとか。あとよく海洋汚染、プラの問題とかよく最近テレビで見ていて、あぁ今こんなふうになっちゃっているんだなって、悲惨な状況を見てすごく自分でも心を痛めました。そこで何か少しでも良くなるように貢献したいなって思った時に、やっぱり今やっている商品開発、まだできてないんですけれども、例えば環境に優しい処方にするとか。あとパッケージもただデザインがいいとか、かわいいとかそういうことだけじゃなくて、環境に配慮した素材を使うとか、なるべく簡易的な包装にするとか、そういうふうにして社会に、地球に貢献というか、優しくできるような、みんなが全体が良くなるようなことをしていきたいなっていう考えでやっていきたいなと思っています。
 

◆ どんな事業をされていますか?
あの、ちょっと話長くなってしまうんですけど… 皆さんに紙の会社なのになんで化粧品?って必ず言われるんですけど(笑)ちょっと経緯から説明していくと… 元々は祖父がずっと、富士市に製紙メーカーさんが多かったのでそういった関係もあって紙の断裁加工を50年以上、父の代までやってきたんです。そして私が入社したとき、8年前ですね。大学を卒業して、1年間他の会社へ就職してから入社したのですが、その時にかなりIT化が進んでペーパーレス化されていまして…。 どんどん紙を減らしていこうという動きがすごく盛んになっていたんです。その時にやはり、情報用紙やコピー用紙なんかもどんどん減ってきていて紙が衰退しているっていう状況がありました。
その中で無くなることはないと思うんですけど、でも絶対今の売上っていうのは維持できないなというのは感じていました。 なので、第2の何か次の柱になるものを作らなければと思っていました。また、今まではずっと下請けの仕事、お客様の商品をお預かりして加工させていただいていたので、会社名というものがなかなか表には出ることはありませんでした。ですけども、そういうことじゃなくて自社の商品、オリジナルの商品をメーカーになって作りたいなっていう、そういう私の思いもありまして、そういったことができるものをずっと探していたんです。

で、経緯から言うと紙の加工で情報用紙は減ったんですけど、代わりに出てきたのが食品用紙とか、そういう衛生的な紙容器。カップラーメンの容器が紙になったりだとか、あとヨーグルトなどのプラスチック容器が紙容器になったり。けっこう食品容器に紙が使われるようになってきて。そういう付加価値の高い、衛生度の高い紙が増えてきたっていうのがあるんですけども、そういったものを扱うにあたって環境を整えようということになったんですね。今まで紙っていうと、工場があって、機械があってっていう、特にあまり環境は気にせずにやってきたのですが、食品を扱うので衛生度がより高くなるっていうところがありまして。防虫対策をしたりですとか、あとクリーンルーム。クリーンパネルで囲って、クリーン度の高い部屋を作って作業したりですとか。そういう事業に移行してきたのが、私がちょうど入社した頃だったんです。
そういうのもあってクリーンな環境で作業する、そういう物づくりとか運用の仕方とかが整ってきたっていうのがありまして。
その次に、食品容器、次工程が食品の充填作業っていう最終容器の検品作業を行うことになりました。それによりそこからまたレベルを上げることができました。お客様にご指導いただいたんですけどね。そういう検品作業をやっていく中で、静岡県って化粧品の生産がトップクラスで盛んなんですよ。そういった状況もあって、化粧品のセットアップをやってみませんか?っていうお話があったんです。 環境も整っているし、あと衛生管理とかそういうルールや仕組みも社内にあったので。 あの、化粧品って『GMP』っていう良い製品を作るための指針みたいな、そういうルールを制定して運用していかないといけないということがありまして、それと薬事課の許可も必要になってくるんですけど、それもスムーズに取れるような状況だったんです。そこから化粧品のセットアップの仕事が始まったんですね。

そしてセットアップをやっていく中で、じゃぁもうちょっとレベルを上げて、化粧品や液体を充填したりとか、それはもうちょっとレベルが上がる許可になるんですけど、それをやってみようということになってそこにチャレンジしたんですね。 その許可が取得でき化粧品が作れるようになったので、じゃぁ今度は売りたいねってことになってきて。 売るためには製造販売業っていう許可がさらに必要になってくるんですけど、じゃぁ今度はその許可を取ろうって言って、またそこで頑張って取ったんですよ。 それで全部の許可が揃ったので、化粧品が売れる体制が整い、じゃぁ自社商品を作ってみようということになり、そういう流れで今商品を作っています。
――― ちゃんと関連して行っての行きついた先なんですね。
そうなんです。私も特に化粧品の知識があるとか、元々化粧品の仕事をしていたとかでは全くなくて、化粧品をやろうなんて全然思っていなかったんです。けれど、そういう紙の需要の減退から、今ある設備とかそういうものを活かしてやってきたっていう感じです。
――― 普通に考えたらなかなか結びつかないですよね。確か高砂酒造さんとコラボされているんですよね?
そうなんですよ。高砂酒造さんの日本酒を使った化粧水なんです。私がこの『ふじのふもとの 姫beauty』というブランドを作って、ご当地コスメをやりたいなと思いまして。
けっこう今、伊勢神宮だと『おいせさん』っていうブランドがありまして、老舗だと京都の『よーじや』さんとか、けっこうご当地で化粧品ブランドがあって、もちろん私が好きな島根県にもあるんですけど、そういったなかで静岡県ってあんまりないなって思ったんですよ。これっていうのが、いろいろちょこちょこお茶を使ったりとか、富士山の水を使ってというものはあるんですけど、これっていうブランド化された、『よーじや』とか『おいせさん』みたいな、そういうのがないなって思って。せっかく富士山が世界遺産になって、いろんな素材があるからもったいないなと思って。
 

あと私が思ったのが、富士市は『かぐや姫伝説』があって、富士宮は『コノハナサクヤ姫』で、こんなに日本の綺麗な、男性にモテるお姫様がいる地域ってないなって思ったんですよ(笑)女子はやっぱり縁結びとか、運気アップとか、綺麗になりたいとか、そういうのでいろいろ行くじゃないですか。神社めぐりとか、御朱印集めとか、お守りとか。そういうのを見て、あ、富士宮って浅間大社という立派なものがあるし、富士山もあるし、こんなにきれいなお姫様二人もいるし、いい素材だなと思ったんです。富士の麓で、かぐや姫は求婚されて、コノハナサクヤ姫は桜のように美しくて、一目惚れされたなんて言う伝説があるので、そういうお姫様になれるように『姫beauty』っていう、富士の麓の姫のビューティっていうコンセプトで作ったんです。それで、デザインテーマが月と竹と桜、ブランドロゴを富士山をモチーフにして今このブランドで作っていて、ショップも浅間大社の近くに8月17日にオープンしました。 それで、どんな素材を使った商品をやろうかなっていう時に、昨年は富士山の溶岩パウダーを配合した洗顔石鹸を作ってるんですけど、第2弾では恋愛とか縁結び系にしたいなと思いまして。

結婚式で新郎新婦が座る席が高砂っていうので、高砂酒造さんの『高砂』の字を使いたいなと思って、高砂酒造さんの社長に「ぜひ御社の日本酒を使いたい」っていう話をしたところ、すごく賛同してくださって。 普通の日本酒じゃなくて、日本酒に含まれるアミノ酸がすごく肌にいいんですけど、そのアミノ酸値を6倍濃縮したものを提供してくれるというお話をしてくれて、うわぁこれはいいなと思いまして。 そういう日本酒を開発していただいて、その日本酒を使った化粧水になっているので、普通の日本酒入り化粧水よりもアミノ酸値が高いので、高保湿ですごくお肌にもやさしい設計になっています。無香料・無着色・パラベンフリーです。お酒のにおいが苦手な方は、においを付けていないので日本酒の香りが少しするのでちょっと合わない可能性もありますが。ただ、香料を使っていないのでその分優しい設計にはなっています。
箱のデザインも水引きをデザインに入れてお祝いコスメをコンセプトに、おめでたい感じのパッケージにしてやっています。
――― 杜氏の方たちは肌がキレイって言われていますよね。
そうですね、昔から良いと言われている日本の原料なので、これを使ってみたいなと思っていました。 現在は溶岩パウダーの洗顔と日本酒化粧水ですが、今後の展開として日本酒の洗顔石鹸とかクレンジング、あとクリームがやっぱり欲しいというお話を頂いているので、冬向けにやりたいなと思っています。どんどん商品展開はしていきたいなと思っていますね。
 

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