インタビュー

株式会社 朝日鉄建 朝日康典社長【後編】

 
 
◆ 富士宮市の自慢できるところがあれば教えて下さい。
やはり富士山と空気がきれいで自然がたくさんあることですかね。食べ物もおいしいですしね。小さい頃には、祖母が百姓をやっていてさつまいもを作っていたのですが、そのさつまいもで切干を作るのをよく手伝っていました。この辺は土質が良いのでおいしい野菜が育つんですよね。落花生、さつまいもは特に美味しいですね。
◆ どんな事業をされていますか?
元々は鉄鋼場から始まりました。私の父と祖父が一緒に立ち上げたんです。その後、総合建設業へ事業拡大をして、私が帰ってきたことをきっかけに建設設計の部門を立ち上げて、その後、不動産部門も立ち上げました。現在は、鉄鋼の加工・総合建設・建築設計・不動産を行っています。建築設計の方では、“朝日夢工房”というブランドで住宅商品をシリーズ化し展開しています。
――― 今私達がインタビューさせてもらっている部屋はモデルルームですか?
はい。元々ここは事務所だったのですが、改装するときに、どうせならイベントなどができるように普通の住宅ではない創りにしようということになって、このような創りにしました。断熱性が高く、結露もなく、漆喰仕上げの室内はとても空気が綺麗なのでエアリーハウスと名付けました。不定期ですが、お母さん方が主催のワークショップやイベントをやったり、お茶教室とかお菓子作りなんかもやっています。打合せや契約もこの場所で行ってます。

――― タイルのキッチン、すごくかわいいですね。(発泡スチロールのような物を指差して)これはなんですか?
いわゆる発砲スチロールです。断熱材を兼ねた発砲スチロールなんです。これ曲がってますけど本当はまっすぐなんです。なぜこのように曲がっているかというと、このように曲げても割れないよということなんです。普通の外壁って硬いですよね?硬いからこのように力を入れると割れてしまうんです。以前富士宮で大きな地震があった時、大半の家で外壁にひびが入ったのですが、弊社の住宅でひびが入った家は1件もありませんでした。住宅って建てた瞬間はすごくきれいで見た目もいいですが、長い年月ずっと暮らしていかないとなりません。日本の厳しい環境にさらされながら生活する中で、お客様にとって一番のストレスってやはりメンテナンスだと思うんです。そのメンテナンスにできるだけ手がかからない、家計にも負担にならない家で、かつ省エネルギーである家を創っています。

弊社の外壁は断熱性能と防音対策、耐結露、耐震性能に大変優れているんです。 以前の事務所ではファンヒーターを2・3台入れて、エアコンも入れて冬場はしのいでいたのですが、今の事務所ではエアコン1台だけですぐに暖まります。逆に冬場はちょっと暑くなってしまうくらいです。 防音も優れていまして、富士宮のバイパスってトラックとかオートバイの音がすごくうるさいのですが、窓を閉めると、『シーンと音がする』って言われるくらい静かなんです。 “高気密高断熱”という言葉をよく耳にすると思いますが、私はちょっと疑問がありまして。やはり空気って循環しないと良くないですよね。私たちの外壁は例えるとダウンジャケットみたいな感じですね。ダウンジャケットって隙間はあるけど暖かいじゃないですか。ダウンジャケットよりふかふかの羽毛のような外壁創りを目指しているので、夏は涼しく冬は暖かいんです(笑)実は富士山の元測候所とか、南極の昭和基地の外壁でも使われているんですよ。
◆ 富士宮で企業された(会社を引き継がれた)きっかけ・理由はどんなことですか?
先程もお話しましたが、やはり父が体調を崩したことですね。
◆ ターニングポイントなどがありましたら教えて下さい。
実は先代が代表だったときに、経営危機みたいな場面があったんです。高度成長期の世代を過ごしているので、今までのスタイルを崩せないし、昔の栄光を引きずりがちなところがあるじゃないですか。このままでは沈没してしまうと思い、代表を引き受けたというか、私が奪い取ったみたいな感じでしたね(笑)
――― どういうところを変えていったのですか?
基本やっていることは同じなのですが、中の仕組みをガラリと変えました。当時、弊社には経営理念がなかったので、まずは会社の“経営理念”を作ってこれを基にみんなで一緒に頑張って行こう!というところから変えていきましたね。

◆ 経営をされていく中で一番意識されていること・大切にしていることは何ですか?
『信頼』ですかね。
人がやることなのでヒューマンエラーや現場のミスもあります。でもそこはしょうがないと思っています。それを糧に成長するエッセンスといいますか、源泉だと思っていますので、そこをみんなでどう乗り越えていくかということが大事だと思っています。そういう対応がお客様への信頼にも繋がりますしね。ほんとそこはバカ正直に向き合いますね。クレームがあれば『はい、喜んで』ってね(笑)まあそんなにクレームがある訳ではありませんが・・・。でも“お客様は神様だ”という意識もないです。そこは対等だと思っています。住宅に関しては、弊社の創りのここのスタイルっていうのは崩せませんから。そういう中でお客様の趣味趣向ってあるじゃないですか?そこをどのように表現しようかなって考えていろいろ提案させてもらっています。それでも合わない場合は、申し訳ございませんが、弊社では建てることはできませんって言って帰ってもらうケースもあります。やはりお客様には、後になってあの時こうしておけばよかったなどと後悔はしてほしくないですからね。

――― 家は高い買い物ですからね。
そうなんです。みなさん最初はぱっとした見た目だけで選んでしまうんですよね(苦笑) 表現が難しいかもしれませんが、やはりそこは信頼関係が一番大事だと思っています。最近は、お客さんがお客さんを紹介してくれるケースが多いですね(笑)
――― 紹介してもらえるっていうのは信頼が得ているものですよね。
よほど満足したお家を建てられたってことですね。
はい。とてもうれしいことですよね(笑)
◆ 今後どのような人と共に働いていきたいですか?
そうですね。やはり弊社の経営理念を理解してくださる方と共に働きたいです。
 
『わたしたちは、快適な住環境と心のこもった行動を通じて、お客様の満足を追求し、
 そこに暮らす人々の健康と、環境に配慮した持続型社会に貢献します。』

やはりちゃんと心を込めた動作が出来る人と一緒にお仕事をしたいですね。弊社では年に一度お祭りを開催しているのですが、そこでは建築の営業色を後ろに控えて、地域の方々に楽しんでもらうことを主体に開催しているんです。弊社に入ってきたスタッフさんたちは、初めはこういうお祭りを開催して何の意味があるのか?みたいな感じでした。でも地域の方々と関わってお祭りを経験してみると、やって良かったという気持ちに変わるんです。やはりそれは、お客様から伝わる笑顔とか、ありがとうとか、楽しかったよっていう気持ちを言葉で直接受けることで、自分たちの評価を即時で感じることができるからです。
私は表に出る場面があるので、お客様と直接触れ合うことで得られることがたくさんあります。でも他のスタッフや現場で働く職人さん達は、どうしてもエンドユーザーさんの声を聞く場面ってあまりないじゃないですか?お客さんの顔を知る場面も機会もないし、今までそういう人達と触れ合う経験もあまりなかったので。 例えば住宅とか建物を作っている場合、私が現場に行くと『社長』って挨拶をしてくれますけど、お客様が行くと『邪魔だなー』とか言われたり。お客さんの顔すら分からないから正直しょうがないのですが・・・。
だからそういう人達を表に引っ張り出して、地域の人達とかお客様と触れ合う場を与えるようにしています。職人さんも他の人達と触れ合う楽しさを知り、同時に自分の行動も気をつけるようになって、人間としても成長してくれますよね?その人のお子さんや奥さんだって、前者と後者だったら後者の方がいいじゃないですか?

そこからお父さんみたいになりたいとかって言ってもらえたらすごくうれしいですよね。会社って、ただ単に働いてもらって給料を与えるだけではなく、教育というとおこがましいのですが、その人の人生を預かっている以上、生き方というところも経営者としては共に育てていきたいなと思っています。当然私も社員のみんなに成長させてもらっていますけどね(笑)会社ってそういう修行の場でもあると思うんです。そういう意識の元、一緒に仲間として成長していける方と一緒に働いていきたいですね。

◆ 就活中の方々に何かアドバイスがあれば教えて下さい。
会社の代表さんとかと話す機会があるのであれば、やはり話をたくさんするべきですよね。それとインターンシップができる企業があればできるだけ行ったり、会社訪問をしたりしてその会社の雰囲気を見てもらうといいかなって思います。今後弊社もインターンシップをやりたいなと思っています。
◆ 現在のスタッフに一言お願いします。
いつかみんなで駅伝に出よう!ですかね(笑)
◆ あなたにとって『社長』とは
全責任を負う役職であって、決して偉いとかそういうわけではないですね。
う~ん。難しいですね・・・・。遣り甲斐ある仕事の場を提供することと、会社を永続的に繁栄させることを目指す人。でしょうか。
――― どう在りたいとかっていう理想はありますか?
毎日会社の周りとか掃除していたいですね(笑)
みんなが活躍しているところを、『いってらっしゃい』って見送りたいです。 前面に出るとかではなく、後ろからみんなを支えていきたいですね。
◆ 今後の夢や目標を教えて下さい。
経営者で企業体なので、成長はさせたいですね。ただ単に大きくさせるのではなく、自分の目の届く範囲で成長させていきたいですね。
 
 
朝日 康典 (あさひ やすのり)
株式会社朝日鉄建/代表取締役
◆ 会社概要 ◆
所在地  静岡県富士宮市北山5285-9
TEL  0544-58-3839
設 立  昭和55年4月23日(創業 昭和47年12月6日)
事業内容 総合建設・建築設計・不動産取引