インタビュー

有限会社 アサギリ 代表取締役 簑 威賴【後編】

 
 
◆ 企業を経営していく中で特に印象に残っているエピソードはありますか?
たくさんありますね(笑) 弊社がなぜこの経営理念にしたかというと、波瀾万丈すぎて、山あり谷あり谷あり谷あり…という感じだったという事があったからですし(笑) 本当に上がり下がりが激しかったですね。先に言った労災事故や兄の事故も本当に大きな事故でしたし、会社がなくなるかどうか…という事もありましたから。でも、その中から最近あった大きな事をお話しさせていただくと、平成26年の冬。この地域で大雪が降った事で起こった出来事ですね。 2週間連続で降った雪のせいで、山梨が陸の孤島になってしまったり、交通機関が麻痺してしまったのですが、僕は今でも覚えています。2月8日と2月14日。バレンタインデーの頃でした。 その大雪の時に、弊社の建屋の屋根が積雪に耐えきれず、ドカンと落ちまして…(苦笑) 幸いなことに人的被害は無かったのですが、屋根が落ちたその時、僕は経営者の団体の会合で広島にいたんです。12時くらいに会社から電話がかかってきて「大雪になっています。 雪の重さで屋根が落ちました」と報告を受けました。怪我がない事も確認できたので、その日は帰れなくなると困るからすぐに会社を閉めて帰るように伝えました。その後報告会に出たのですが、冒頭で「建屋の屋根が積雪の影響で落下しました」と説明をしたことも覚えています。 屋根が落ちるという大変な事態の時に、なぜ会社に戻らないのかと思う方もいらっしゃると思います。しかし、屋根の修繕を担当してくれる建設会社の社長と、その修繕費などの対応をする保険屋さんが一緒に報告会に出席していた為、戻っても何も出来ないことが分かっていました(苦笑) その為、僕は金曜日~日曜までの報告会に参加してから会社に戻りました。 会社に戻って、現状を確認した時、半ば呆然と「どうしよう」と考えました。屋根が落ちているので仕事は一切できませんし、積雪の影響で交通機関が麻痺し、荷物の運搬もできません。結局、屋根の修繕など全面復旧したのは5月になってからでした。 そんな状況の中、社員が会社に来てくれていたので、除雪を行う事を提案しました。弊社には作業で使用する建設重機がありましたし、操縦できるオペレーターもいます。時間もあるという事で、社員に近所の施設や人穴地区の除雪をしに行くように伝えました。

その頃はまだ、地域との関わりが希薄だったこともあり、社員たちも最初は「なんで僕たちが近所の所の雪まで除雪しなくてはいけないのですか?」と、除雪に行くことに否定的でした。お恥ずかしい話、地域からの苦情を無くすことが出来ていなかったこともあり、否定的な意見が多かったのです。ですが僕は社員に「困っている人がいて、対応できる設備や機械があって、対応できる能力を持った人がいて、時間もあるでしょ?」と呼びかけ、除雪に行くことを促しました。 「対応できない事だったら仕方ないけれど、対応できるのなら、困っている人に手を差し伸べなきゃいけないよ」そう伝えたところ、みんな除雪に向かってくれました。そうしたら、除雪に行った先から会社に電話がかかってきたんです。僕は何かクレームになるようなことがあったのかと心配しましたが、電話に出てみたら「除雪してくれてありがとう」って言ってくださいました。 さらに「寒い中ずっと除雪作業をしてくれたので、お礼に何か温かいお昼ご飯を食べさせたいのですが、こちらでお昼を食べさせてしまってもいいですか?」と聞いてくださったので、「断る理由がありません。お願いします」とお伝えしました。その後は、除雪に行った社員が戻ってきて、自ら進んで「まだ除雪できていない地域があるので、除雪をしに行ってもいいですか?」と聞いてきてくれました。 除雪は午前中くらいまでと伝えていたのですが、午後までかかってしまうという事だったので、「ぜひ除雪してきて」と伝え、社員が出かけていくのを見守りました。 除雪に行った社員は、地域の方々から凄くお礼を言われたそうです。後日、区長さんたちが会社までわざわざお礼を言いに来てくれたりもしました。「困っている時に助けてくれてありがとう」と言われて、社員も『困っている時に、困っている人を助けることが出来た』と実感したようで、その後は雪が降る度に社員たちが率先して除雪に行ってくれるようになりました。 その時、僕は『自分たちが変われば、周りの人は気付いて評価してくれる』という事を学びました。 弊社も屋根が落ちてしまって、とても大変な状態ではありましたが、そんな時でも除雪に行ったということが素晴らしい経験を残してくれたと思います。そのことで色々な関わりを得ることも出来ました。社員たちも、社長の僕から言われて変わるのではなく、地域の人たちから直接感謝されることによって変わってくれたことが、一番大きいと思っています。この雪の日から『地域の人に対してやれることはちゃんとやろう!』という考えが強くなりました。 地域の方々から「ここに弊社があって良かった」と言ってもらえるようにしていこうと改めて会社全体で意識出来た日でもあります。 また、今後この地域で震災などの『災害が起こった時、弊社は何が出来るのか』と考えるきっかけにもなった出来事です。

―――自然災害で会社自体も大変な時に、他の人に手を差し伸べるというのはなかなか難しいですよね。
困っている時に手を差し伸べず、平常に戻ってから「何か困っていることはありますか?」と聞いても意味がないですよね。 例えば、水が一番欲しい時に何もくれなくて、みんなが満腹になった時に「水をたくさん持ってきました」と言われても「欲しいのは緊急事態の時のコップ一杯の水だから」と思いますよね。 逆の立場だったら…と考えた時にどう動けるかです。自分が困っている時に誰かに助けてもらえたら、やっぱり嬉しいですから。見返りを求めて手を差し伸べるのではなく、純粋に困っている人の手助けをする。 それが大事な事なんだと、今回の大雪がきっかけで改めて実感することが出来ました。
―――過去には苦情があったりもした中で「困っているから手を差し伸べる」という対応が取れるのは素晴らしいですね。
苦情があった事と、手助けするという事は全くの別問題なのです。苦情を言われた部分に対しては、その時はまだ弊社に対応できるだけの力が無かったというのが事実なので、頭を下げて謝って、対応できるように努力するしかありませんでした。 だから、苦情があった事に関わらず『困っている人がいれば、できるだけ手を差し伸べる』という自分の信念のもとで行動しただけです。
――― 結果として、地域の方々との関係性が良くなったという事ですね。
これからも、もっと地域の人たちと良い関係性を築いていきたいと考えています。 他県の話になりますが、しっかりやっている会社でも、地域と上手く付き合っていけず、誤解されている会社もあるのが現状です。 会社へ行くまでの間に『産廃反対!』などと書かれた看板がたくさん立っていることもあります。その会社の方にお話を聞いたりすることもあるのですが、最初は本当にちょっとしたボタンの掛け違いで、地域の方との意思疎通が出来ていなかっただけの事が、どんどん大きくなっていってしまったのだと言っていました。 お互いが引くに引けない状況下で『法律』の話にまで及び、さらに過熱する事もあったそうです。そうならないようにする為には、自分たちがやれる範囲を丁寧に相手に伝えることが大事なのかなと思っています。「本当ならここまでやらなくてはいけないのですが、それを理解した上で、弊社が今出来るのはここまでです。」と誠心誠意お話していくなどですね。 実際、今回の工事の事を僕から「ここまで整備します」とお伝えした際に「そこまで整備してくれるのは有り難いが、大丈夫ですか?」と心配してくださった方もいました。でも、整備すると決めた以上はしっかりやりますとお伝えして、現在工事を行っています。こういう事で、少しでも地域貢献できればいいと思っているのです。

◆ 今後どのような人と共に働いていきたいですか?
有り難い事に、弊社は凄く離職率が低いんですよ。みんな辞めずに働いてくれています。ここ15年で、定年退職を除くと2名くらいしか辞めていません。今は弊社に18名、関連会社のアグリパワーに8名、計26名が働いてくれています。 最初の家族経営から比べてみても、年々増えていっているのは本当に有り難いです。 そんな中で、今後どのような人と働きたいかというと、やっぱり『嘘を吐かない人』ですね。 僕は“価値観”というのは人それぞれあって良いと思っています。でも、良い事でも悪い事でも【嘘を吐かない】でいてくれる人と仕事をしたいです。何か仕事上で失敗しても、嘘を吐いたり誤魔化したりせずに素直に「ごめんなさい」と言える人と一緒に働いていきたいと思っています。
はっきり言いますと、弊社は学歴などを全く気にしていないのです。実際、今の管理職の中で、工場次長と呼ばれる社員がいますが、彼は高校中退という学歴です。でも、弊社で18年ほど真面目にしっかり働いてくれていて、色んな現場で仕事をしたり、様々な経験を積んでくれています。 それ故に意見がぶつかることもあります。個人面談を数時間くらい行ったりすることもあり、彼が涙を流しながら意見を言ってくれたこともあります。そうやって、弊社の事を思って働いてきてくれた彼だからこそ、僕は役職を付けました。ですが、彼自身が【学歴】の事を気にして「学歴の事があるので、役職に就くのはいけないのではないか」と言ってきました。 しかし「弊社でずっと勉強をしてくれた事や、周囲からの信頼も篤い君だからこそ、役職についてほしい」と話をして、現在の役職になってくれています。今でも不安はある様で毎回「これでいいですか?」と確認してくれるような、真面目な性格の彼ですが、やはり彼も嘘は吐きません。だからこそ信頼できるのです。出来ない事は「出来ない」と言ってくれれば良い。誤魔化したり嘘を吐いたりしなければいいと思います。 その一点が出来るかどうかで、信頼できるかが決まると思うので、僕は「嘘を吐かない人」と仕事をしたいと思います。
あと、中小企業はみんなそうかもしれませんが【ガラスの原石】ってなかなか来ないものです。たまに来たとしても、毎年【ピカピカのガラスになる原石】の人が来ることは望めません。ですが、僕たちはその辺に落ちている様な石を、ピカピカの石にすることはできます。ガラスは無理でも、石のままでも磨き上げることはできるのです。 そういう意味では、一緒に前向きに考えて頑張って仕事をしてくれる人、その上で嘘を吐かない人と仕事をしたいと思います。価値観はそれぞれで良い。一人が好きな人もいれば、みんなと喋るのが好きな人もいます。色々な人がいていいと思いますが、理念に共感し、嘘を吐かずに仕事をしてくれる。僕は、それだけでいいと思っています。

◆ 就活中の方々に何かアドバイスがあれば教えてください。
好奇心を持つことが一番大事だと思います。
“その会社がどんなことをしているのか”という好奇心を持って、調べてみることが大切です。興味があれば、知識は絶対についてくると思うのです。 確かに、最初から知識を持っている人なら、採用した後の教育の負担が軽減されることは事実ですが、最初は知識が無くても興味を持ってくれていることが大切だと思います。もちろん、興味を持っていても、飲み込みが早い人・遅い人というのはあると思います。 しかし、登山や会社の成長の時にお話しした通り『スタートから比べたら0じゃない』ので、遅かれ早かれ知識を付けることが出来ると思うのです。 どんな会社なのか、どんな仕事をしているのかということに興味を持ってもらえれば、きっと社名だけではなく、仕事の内容なども自分で知ろうとするはずです。例えばですが、【営業】という業種の募集がされていたら、『飛び込み営業はできないから無理』とすぐに結論を出すのではなく、どんな営業をしているのかに興味を持つべきだと思います。 もしかしたら、飛び込み営業はないかもしれないですよね。実際、弊社の営業は『工場の中を見せて、案内する事』が営業なのです。廃棄物処理の場合、取引先は年に最低1回は、必ず工場を視察しなければいけません。法律や条例で決まっているので、大手取引先だと年に1~2回は必ず工場を視に来ます。その際に『この工場では何を行っている』というPRを行うのが弊社の営業の仕事なのです。 当然、新規のお客様の所に説明や提案に行くことも仕事内容としてありますが、物を売る為の営業ではなく【預かった廃棄物を工場内でどのように処理して肥料にするか。作った肥料をどのようにして、どこで売っているのか】を説明することが一番の仕事になってきます。なので、弊社では新規の所への飛び込み営業というのは一切ないのです。行くとしてもルートセールスのような感じで「何か困ったことはありませんか?」と提案を出しに行くくらいです。
弊社だけでもこのように“営業”の仕事内容が違っているので、他社でもきっと違いはあると思います。だからこそ、興味を持って調べることが大切だと言えます。分からなければ、その会社の担当者に事前に質問する事も大切です。興味を持って調べていれば、質問もしっかりとすることが出来ると思います。当然、給料面や待遇は重要視するでしょう。ですが、若い人ほど色々な経験をすることも必要なことでは無いでしょうか?給料が良く、休みも週休二日で長期休暇もあり、有休も全て消化できる。 その上、ボーナスも良く、定時で帰れる。そんな会社は本当にあるでしょうか?公務員だったら定時で帰れるという方もいますが、彼らだって残業をする事もあります。サービス残業をしろと言いたいわけではなく、残業代はもちろん出るのが当たり前ですが、先ほど言ったような全部自分の要求通りに行く世の中というのは残念ながらありません。

そんな理不尽な世の中で、自分が一番重要視するのはどこなのかをしっかり見極めていかなければいけません。仕事を覚えたいのか、お金が欲しいのか、時間が欲しいのか…。 価値観は人によって様々だからこそ、興味を持って調べる上での判断基準が必要なのです。「この会社に入ったら、自分は5年後、10年後どうなっているんだろう?」とまずは考えてみるといいのではないでしょうか。 私が大学生の頃は、バブルの一番最後で、就職の際は売り手市場だったこともあり、何社も面接を受け、内定もたくさん貰えました。でも、その頃は何も考えずに元から名前を知っていたような会社にただ面接を受けに行っただけの状態でした。結局、僕が最終的に就職をしたのは、大学の教授から推薦された会社でしたが、教授からお話を貰って興味を持ってから就職できたので、凄く良かったと思っています。 学生や若い人は、メーカーやブランドなどの有名で、名前を良く知っている会社に就職しようとする人が多いかと思います。しかし、普段は接することがない為、あまり知られていないBtoBの企業間ビジネスを行っている会社の中にも、たくさん良い会社はあります。だからこそ、興味を持ってもらいたい。調べてみてほしいのです。自分の希望にあう“良い会社”を探してほしいのです。自分の価値観を重要視していれば、入社してから「こんなはずじゃなかった」と思うことも、基本的には無いと思います。もし、こんなはずじゃなかったと思ったなら、自分が何を求めていたのかをもう一度整理し、そのギャップを埋めるように興味を持って調べていけばいいと思います。 逆に言えば、僕たち雇用する側も、就活している方々の質問にしっかり答えられるようにしていかなければなりません。僕は今回、社員を採用するにあたって色々と考えさせられました。就職先を探すというのは本当に難しいです。何が正解か分からない事ですから。

もう一つアドバイスが出来るとしたら、就職したらやっぱり3年くらいは働いた方が良いという事ですね。僕たちが若い頃は当たり前のことでしたが、最近はとても時間の流れが早いので、3年というのは一つの例でしかないのかもしれません。 ですが、就職して1ヶ月でその会社に見切りをつけて辞めてしまうのは勿体ないと思います。就職1年目だと、任せられない仕事があったりもするので、その会社の魅力を十分に分からず、その状態で辞めてしまうというのは、色々な意味で難しいかなと思ってしまいます。確かに、昨今はブラック企業と呼ばれる会社もあるので、一概に「3年は絶対に働け!」とは言えません。ブラック企業に入ってしまったら、早々に辞めるべきだと思います。そういう状況は別として『何となく自分に合わないから』『自分の求めていたものと違うから』といって早々に辞めちゃうのは勿体ないということをお伝えしたいのです。 先にも言った通り、もし自分の思い描いていた結果じゃなかったとしたら、ちゃんと何が違ったのかを自分の中で整理して、そのギャップをなくしていく事が大事だと思います。辞めるという結論を出す前に、一度自分の中で「何が重要なのか」を考える時間を作ってみると良いと思います。 就活中の方の中には“雇用”というのは『企業が偉くて、就活している人や従業員が下』と勘違いしている方もいるかと思いますが、“雇用”とは【雇用する側と雇用される側が対等】なものです。労使関係というのは、仕事の対価としてお金を払う関係ですから、労力に対する当たり前の対価を給料として受け取っているのです。昇給があるというのも、今まで出来なかったことや知らなかった知識が身に付き、出来る仕事が増えたりするから、その分の対価が増えているだけなのです。だからと言って、自分の仕事だけこなして、他の人の仕事を手伝わないというのはいけません。 どんなに一人で頑張っても、周りの仕事を手伝わなかったことによって、会社自体が赤字になってしまったら元も子もないのです。周りの人の仕事にも興味を持ちながら、周囲の人と共に成長していければ、その会社自体もより良くなっていけると思います。 何度も言いますが、求職中の人は、まず興味を持つことから始めてみてください。良い会社というのは経営理念や経営方針についてちゃんと語れる経営者がいるものです。その経営者に直接話を伺ってみるのも良いと思います。
 
――― 確かに、TOPインタビューでお話しさせていただいた経営者の方々は、経営理念や経営方針についてしっかりと意見を伝えてきてくださいました。
そうですよね?ですから、就活中の人も、その会社の経営者がどれだけ自身の会社について考えているのかを知る良いきっかけにもなると思うので、思い切って聞いてみるといいと思います。

◆ 現在のスタッフに一言お願いします。
いつも仕事を頑張ってくれているので、感謝の一言しかありません。 社員がいなければ、いくら僕が「新しいことをやりたい」と言っても実現できなかったでしょうし、現場での業務や事務所での事務作業など、仕事の内容や立場は違いますが、社員全員が会社を支えるために仕事をしてくれているので、本当に有り難いです。 色々な作業を効率化して、昔は出来なかったことがたくさん出来るようになっているのも、頑張って働いてくれている社員みんなのおかげです。 最近は、僕が現場に口出ししなくても、みんなが考えてしっかり動いてくれています。口出しをしていた頃は、陣頭指揮を僕が取っていたので、社員の成長を止めてしまっていた部分がありました。 だからこそ、今は少しずつですが口出しを控えるようにしています。
まだちょっと口出しする事もあるので、そこは社員に指摘されたりすることもあります(笑)
でも、そういった指摘をしてくれるという意味でも感謝しかないですね。本当にみんな、ありがとう。
◆ あなたにとって「社長」とは?
羅針盤ですね。会社が進むべき方向を絶えず示していく羅針盤。 どんなに困難になっても、進むべき道を出していくのが社長だと思っているので。
よく【会社は社長で変わる】と言われるじゃないですか?正にその通りで、社長がいい加減にやってしまうと、会社は潰れてしまうし、どんなに大きな会社でも、中小企業の場合は社長が判断を間違えたら終わってしまうのです。だから良くも悪くも方向性を決める社長は羅針盤だと思います。 しかし、社長は孤独なものですよ。社員たちとは仕事内容が全く違いますから、ちゃんと仕事をしていても、社員からしたら遊んでいるように見えてしまう事もあるんです。何かを決断する時も、社員の意見はもちろん聞きますが、聞いた上で、その意見の通りになるかというとそうじゃない場合もあります。みんなに反対されてもやらなくちゃいけない事もあるからです。だからこそ、社長の決断というのは重いと思います。 決断する時は会社を守るためにも保険をかける必要がありますが、いくら保険をかけたとしても社長は判断を間違えてはいけません。逆に慎重になりすぎて進まずにいても、会社を成長させられません。だからこそ、社長はしっかり前を見ながら会社の向かう方向性を決めていくべきだと思います。しっかり方向性を決めていれば、社員もきっと支えてくれますし、そういう社員の姿を見ていればこそ、進むべき道が見えてくると思うので、社長は羅針盤として、会社を導いて行ければいいと考えています。
◆ 今後の夢や目標を教えてください。
朝霧を含めた富士宮の北部地域を活性化したいです。
街中ももちろん大事ですが、折角世界遺産の富士山があるのですから、北部地域をもっと盛り立てて【世界遺産がある街、富士宮】というのを誇れるようにしていきたいです。 今回の工事で桜を植えたことなども、北部の活性化に繋がってくれたら嬉しいなと思っています。 そして、そんな活性化された北部地域の中で「あの会社がこの地域にあって良かった」とみんなに思ってもらえるような会社にしていきたいと思っています。弊社は静脈産業ですので、表に出ることはありませんが、静脈の様に静かに裏で皆さんの生活を支えていることを、いつかみんなが知ってくれるような会社になりたいです。
 
簑 威賴 (みの たけより)
有限会社 アサギリ
代表取締役
◆ インタビュアーから ◆
『優しさの中に強さのある、利他の精神を持つ素敵な社長』という印象を受けました。地域の景観を良くするために桜を植えたり電信柱を地中化したりなど、会社の事だけでなく、周辺環境のことまで考えてくださる簑社長にとても感銘を受けました。私自身、産業廃棄物に対するイメージが変わったインタビューでした。長時間のインタビューに温かくご対応いただきまして、誠にありがとうございました。
写真担当:K.O&M.O / インタビュー担当:M.W